「日本茶の主な産地は?」と聞かれたら、多くの人が静岡県と答えるでしょう。
静岡県は毎年の荒茶生産量も全国でトップを誇り、全国の茶園面積の約4割を占める日本一のお茶産地です。
日本で有名な民謡『茶摘歌』の歌詞の一説に「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」とあるように、静岡茶は宇治茶や狭山茶と並ぶ日本三大銘茶として知られています。
日本茶の9割以上を占める「やぶきた茶」の発祥地でもあります。
お茶栽培に適した気候
静岡県が日本一のお茶の産地になった理由の一つに、温暖な気候が挙げられます。
日本におけるお茶の栽培適地は、年間平均気温が14~16℃以上、かつ冬季の最低気温がマイナス5~6℃に収まることが条件です。
静岡県はほとんどの地域が栽培適地の条件に当てはまり、冬でも雪が降ることが稀であるため、お茶の栽培に適しているのです。
実際、牧之原、富士山麓、磐田原など山間部を中心に20以上の地域が静岡茶の産地になっています。
世界も認める茶草場農法
もちろん、お茶づくりに携わる人々の生産技術も、質の高いお茶を生み出す重要な要素です。
産地賞の常連である掛川市をはじめ、複数の品種が全国茶品評会で受賞しています。
静岡県では、秋から冬にかけて、茶園のまわりに生えたススキやササなどの草刈りを行い、それを茶園に敷きます。
茶園に草を敷く作業には時間も労力も必要ですが、地中の温度や水分を保つのに大いに効果的があるのです。
この伝統的な農法は「茶草場農法」と呼ばれ、2013年に世界農業遺産に認定されました。
手間ひまをかけることで、海外でも愛されるおいしいお茶を作っているのです。
静岡茶の品種(ブランド)
静岡県で栽培されている日本茶の種類は、主に煎茶や深蒸し茶です。
煎茶の蒸し時間は30秒程度ですが、深蒸し茶はその倍の60秒以上かけて蒸すのが特徴的です。
蒸し時間が長いことで水色が濃い緑色になり、渋みよりもうま味・コクを感じやすくなります。
産地ごとにさまざまなブランドがありますが、特に有名なのは静岡茶で最古の歴史をもつ本山茶でしょう。
安部川の上流域を産地とする本山茶は、徳川家康も愛飲していたことで知られます。
静岡茶の主な品種(ブランド)
牧之原茶(牧之原市)
富士山頂献上茶(富士山麓)
いわた茶(磐田原台地)
川根茶(島田市、川根本町)
掛川茶(掛川市)
菊川茶(菊川市)
天城茶(伊豆市)
引佐茶(浜松市)