埼玉県を中心に生産されるお茶のことを、埼玉狭山茶(さやまちゃ)と呼びます。
主に県西部の入間市・所沢市・狭山市を中心とした狭山丘陵地域で盛んに栽培され、中でも入間市が狭山茶の生産量の60%を占めています。
狭山茶は「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と謳われるほど、冷涼の地域で育つため、葉肉があついことが魅力です。
味・色・香りがとても強く、味の深さと旨味が際立っています。
また、各農家が加工機械まで所有し、栽培から加工販売までを行う「自園・自製・自販」が多いことも特徴です。
狭山火入れによる独特の香ばしさ
狭山火入れとは、狭山茶の独特な加工方法の一つです。
お茶の仕上げのときに熱を加え、乾燥を十分に行い貯蔵性を高めるとともに加熱香気が生成され、味や香りを向上させる工程のことを言います。
この製法を行うことで、さらに甘さ・香ばしさ・深みといったバランスの取れた旨味と渋みが楽しめます。
狭山茶の歴史は鎌倉時代から
狭山茶の歴史は鎌倉時代にまでさかのぼり、中国から茶の種を持ち帰った慈覚大師・ 円仁がその種をお寺の境内や畑に植えたことが始まりとされています。
江戸時代中頃から、地域の特産物として栽培が普及し産地が拡大していきました。
現代では、狭山茶の伝統を守りつつ新しい取り組みも進められています。
狭山茶を使用したスイーツや飲料など、様々な商品開発がされその魅力は広がり続けています。
希少価値の高い高品質なお茶
狭山茶は、5月上旬に一番茶の収穫時期が行われ、6月中旬から下旬にかけて二番茶の収穫をむかえます。
寒冷地の場所であるため他産地より茶摘みの開始時期が遅く、収穫は二番茶までがほとんどです。一部農家では、10月に秋冬番茶の収穫を行うことがありますが、多くて3回までです。
また、都市部に近いため収穫面積が狭く、収穫量も多くはないので希少価値の高いお茶として扱われています。
狭山茶の品種(ブランド)
日本の三大銘茶である狭山茶の主な品種は、全国の栽培面積の8割を占め、埼玉だけで6割を占めているやぶきたです。味はまろやかで優雅な香りが特徴的です。
同じ品種でもお茶屋さんにより香りや味わいが異なり、個性があることも魅力です。
狭山茶の主な品種(ブランド)
やぶきた
さやまかおり
ふくみどり
ほくめい
むさしかおり
さいのみどり
ゆめわかば